「今日は七月四日や、暑い日やった。稲が膝の辺りまで伸びてな、株の間を機械を転がすように突くんや。土をかき混ぜながら草を取るんや。水面に草が浮いてくるんや、そうするとな、稲の育ちがええんや。幼い杉の木と同じや。そりゃ、大変な力仕事や、疲れるけど、ええ稲を育てんとな。そうやな、一日で一枚の田圃がやっとや、田圃の真中で、機械の柄を杖にして休んだんや。腰を伸ばして辺りを見ながらボーっと立ってたんや。そして川向こうを見たんや。国道を車が行き来しとった。下を向いたまま田突きしとった今までは独りぼっちやと思って居った。何処へ行くんやろな。長男に自動車で那智の滝に連れてってもろうたことを思い出してな。だけど今は一人で田突きしとるんや」
国道を
色とりどりの自動車が
行き交うを見つ我は田を突く
国道を
色とりどりの自動車が
行き交うを見つ我は田を突く


