母の心音(こころね)

「今日は五月十八日や。庭の入口に芍薬(しゃくやく)の花を植えてあるんや。長女が家に居った頃植えたんや、二人してな。そしてな、暫くその花を二人で見てたんや。それはそれは綺麗でな。何時もこの頃になると綺麗に咲くんや、あの時と同じにな。だけど今は独りで眺めるんや、芍薬の花は何も言わないけどな。毎朝眺めるんや、愛おうしく手で触ってみたりしてな」



庭先の
芍薬の花見るたびに
嫁ぎし娘今は眺めず