母の心音(こころね)

「五月八日やった。茶摘が始まってな、裏の茶畑にしょんぼり独り立ってたんや。あの頃は長男や次男がよう手伝うてくれた。今でもあの時の栗の木があるけど、その栗の木の枝にメジロ籠をぶら下げて、そりや賑やかやった。ポケットにあられを入れて食べながら賑やかやった。その頃を思い出して、しみじみと茶畑を見渡したんや。あの頃が無性に懐かしく思えてな、暫くの間立ってたんや。そりゃ、賑やかで楽しかった」



茶畑に
独りたたずみ見渡せば
過ぎし昔が思い出されて