「二ヶ月ほど前の三月二十八日のことやった。末娘が東京へ行った日や。東京の次男坊に電話したんや、同居させてやってくれってな。次男坊も結婚したばかりやった。末娘は非の打ち所のない子やって思ってな、兄弟仲ようしたらどうやって、そしたら次男坊に断られたんや。そりゃ心が打ち砕かれたわ。末娘は勉強もできたし、自分の思うことを率直に言うし、考えがしっかりしとると思ってな、安心しとったんや。それがな、次男坊の言うには、人の心を捕らえることができんと言うんや。同居して喧嘩別れしたら一生別れることになるって言うんや。それよりも、距離をおいて仲よう末永く暮らした方がええって言うんや。これを聞いてな、思い悩んだんや。末娘は世間の荒波にもまれてうまくやっていけるやろか、兄弟仲ようやっていけるやろかってな。目の前が真っ暗になったんや」
電話にて
意外の言葉聞きしより
思い悩まし暗き毎日
電話にて
意外の言葉聞きしより
思い悩まし暗き毎日


