季節外れの卒業旅行

必ず、ここに戻ってきた形跡があるはずだ

三沢は谷を刺し殺してここまで戻ってきた

無数の刺し傷から、きっと返り血を浴びているはず

まず最初にやることは……

ユニットバスか

俺はゆっくりと瞼を持ち上げると、足を動かした

ユニットバスのドアを開けると、口元をゆるめて笑った

「あった! 俺の探し物」

トイレのふたの上に『Y・Y』とイニシャルの入ったカメラが置いてあり、ユニットバスの中に脱ぎ捨てた青いシャツがあった

「ここで谷の血を洗い流した
なあ、この後、誰と会う予定だった?」

想像の中で、シャワーを浴びる三沢に向かって俺は質問を投げかけた

「これで谷と争って死んだという説は消えた
血の落ちた後もないから、三沢は怪我をしてない
無傷だ
一度部屋に戻り、シャツを着替えてから誰かと会った
そこでめった刺しに合って死んだ
じゃあ…誰に会った?」

俺はユニットバスのドアを閉めると、顎を触った