季節外れの卒業旅行

「え? シャツが違うのか?」

瑞希は驚いた声を出すと、宙を見上げる

昨日の三沢と今日の三沢の格好を思い出しているのだろう

「同じシャツやと思うけど」

「ああ、そこがポイントだ」

「はあ?」

「三沢は生きてこの島を出るつもりでいた
真犯人に殺されるなんて露ほどにも思ってなかっただろう

だから犯行直後に谷の血で汚れるシャツの代わりに着る服を用意していた

着替えたと思われないよう……最初に着てた服とよく似たシャツを、な」