季節外れの卒業旅行

「三沢が用意したのかもな」

「え?」

瑞希が不思議そうな顔をした

俺はこめかみを親指でぐりぐりと押した
何か、見落としているものがある気がした

死体を見たとき、何か違和感があったんだ

何かが違う

何が違うと思った?

俺は三沢の格好を思い出した

「カメラとシャツだ!」

「はあ?
竜ボン、俺にもわかるように話してや!」

俺は立ち上がると、瑞希の前に立った

「三沢は首からカメラをかけて散歩に出かけた
でも遺体のそばにも、カメラケースの近くにも三沢のカメラはなかった
それとシャツだ
散歩直前まで着ていたシャツと、遺体が着ているシャツが違う」