季節外れの卒業旅行

「藤城さん……久我さん、いますか?」

ドアのほうから実花の声が聞こえてきた

「はい?」

俺は廊下のほうへ歩き、実花に顔が見えるようにした

「久我さん、いました?」

「ええ、起きました」

ん?
『いました?』って質問はおかしくないか?

俺は首を傾げると、実花の表情を見た

眉尻を下げて、暗い顔をしている

視線を下にして、うつむいてから下唇を噛みしめた

「どうしたんですか?」

俺は実花の前で、足を止めた