季節外れの卒業旅行

俺は手に持っているグラスのビールが、身体にかかるのがわかった

冷たい感触が胸から腹にかけて沁み渡ってくる

俺の手から離れたグラスが床に落ちて、ごろごろ転がっていく
隣に座っている瑞希の足もとにあたると、グラスの動きが止まった

食堂にいる全員の視線が俺に向いているのがわかった
視線が痛い

人に注目されるって好きじゃないんだよな

俺は沙羅の肩を抱いて身体を少し離すと、痛みに顔を歪めている彼女の表情を見つめた

「大丈夫ですか?」

俺の上にいる沙羅に声をかけた

「え…あっ、すみません」

沙羅がぱっと表情を明るくすると、俺から離れて一人で立った