「瑞希は当番か?」

「そうや、仕事中や
仮眠をとる前に、竜ボンに知らせなあかん出来事ができたんや
7月10日から夏休みを取っとるだろ?」

何で知っている?
俺の行動を……

同じ職場でもないくせに、なぜ俺の行動を把握しているんだ?

「奇遇なことに俺も同じ日に休みを取ったんや
んで、俺様が気をきかせてなぁ……」

「待て! 俺はその先を聞きたいとは思わない」

「ほな、聞かないでおく?
拒否権はないで。聞かなくても、竜ボンの10日からの予定は決まってるさかい」

「言っておくが
俺は就職して初めてもらった夏休みだ
お前と行動する前に、前から決めていた用件がある」

「あ…それなら13日せえよ
10日から12日までは俺と旅行って決まってるんやし」

決まってねえだろ!、と突っ込みたくなる気持ちを喉の奥で止めると、アパートの部屋の電気をつけた

ベッドボードに置いてある縁無し眼鏡をかけると、ぼやけていた世界がはっきりと見えてきた

俺は整理整頓されている本棚を眺めた

シリーズ化されている本がきちんと順番通りに並んでいるのを目で確認していった