季節外れの卒業旅行

瑞希がきょろきょろと想い人を探した

俺は相手を知らないから、瑞希の後ろからついて歩く

広いロビーだ
船で旅行をするなんて初めての経験だった

飛行機で海外へ…なんてのは何度かあるが、船は一度もない

遊覧船で湖を一周というはあるが。

お土産屋の店先に、旅行鞄を持っている女性二人が目についた

土産を選んでいるというより、土産屋で時間をつぶしながら会話を楽しんでいるように見える

「なあ、あの子たちじゃないか?」

俺は瑞希の肩を叩くと、顎で女性をさす

瑞希も同じ方向を見ると、口元が一気に緩んでいった

「よう、わかったな」

「わかるだろ」

瑞希の歩幅が大きくなり、女性に視線を送る

店先にいた女性の一人が、瑞希に気付いたようで手を振った

瑞希も答えるように手を大きく振る

「実花ちゃんや!
会いたかったでぇ」

瑞希が大声で、嬉しそうな声をあげる

俺は額に手をあてると、大きく息を吐いた