季節外れの卒業旅行

「おーい、竜ボン
谷の死亡解剖やで
三沢のは、愛しの遥ちゃんが持ってくる予定や」

白衣姿の瑞希が、俺のデスクまでずかずかと侵入してきた

「御苦労さん」

瑞希がファイルを俺のデスクの上に置くと、小さくため息をついた

「どうした?」

俺は顔を上げると、横に立っている瑞希の顔を見た

「見知った顔を解剖するのは、辛い……仕事だから仕方ないけど」

悲しい表情で瑞希が言った

俺も頷く

「そうだな
俺も見知った顔の人間の罪を暴きたくなかった」

「お互いそれが仕事やから、な!」

瑞希が俺の肩を叩いた