季節外れの卒業旅行

「夏休み? あっそぉ
先輩が必死に汗水たらして検死しているのを、久我くんは鼻水たらして眺めている気なわけ?」

「いや……そこまでは…言うてへんけど」

「そこまでは?
何それ。だって夏休み中なんでしょ?
遺体は2体って聞いたけど、か弱い女性に肉体労働させている横で、久我くんはトロピカルジュースをすすってるってことでしょ?」

「わーかりましたよ!
仕事しますよ
夏休みは中止や」

瑞希が面倒くさそうに叫ぶと、白衣を広げて袖に手を通した

白衣に身を包んだ瑞希は、遥の持っている鞄を受け取り、中からネームバッチを出すと胸ポケットにつけた

『監察医 久我瑞希』

ネームバッチがきらりと光った