季節外れの卒業旅行

綺麗に畳まれてる白衣をボールのように丸めると、腕をあげて投げつけた

「おっ…と」

白衣の飛び先は瑞希だった

瑞希は落としそうになりながらも、白衣をしっかりと受け止めた

「久我くんが急に休みを取るなんて言うから、私が夏休みを取れなくなったのよ!
普通、先輩の休みを優先にするものだけど?」

「だって……実花ちゃんとエッチできるかもぉ…って思ったら…なあ、竜ボン!」

「俺に振るなよ!」

「ふうん? それで?」

小柄な遥が、俺たちを見上げながら仁王立ちをする

遥は見上げているのに、気分的には上から圧迫されているように感じる

俺は口をへの字に曲げると、肩をすくめた

「念願のエッチは成功したの?」

遥は直球で聞いてくる

話題に自分の名が出た実花は、真琴の隣で真っ赤な顔をしている

「お。おう! 心配いらへんで」

「そう、失敗したの
じゃ、失恋した男は仕事に生きるべきだわ
ここは私と久我くんの担当になったから」

「え? 俺?
だって夏休み中やで」

馬鹿だな……
それは今の遥には地雷だぞ