季節外れの卒業旅行

俺の目の前で女性が足を止めると、にっこりとほほ笑んだ

俺もつられて微笑むと、次の瞬間
頬に痛みが走った

乾いた音が、ロビーに響いていた

俺は頬を叩かれたのだ

「私を放って夏休みに旅行するから、事件に巻き込まれるのよ」

「怒るなら、瑞希を怒れよ
あいつに巻き込まれたんだ」

俺は叩かれた頬を抑えると、恋人の二条遥に言い訳をする

遥は鞄の中から、手袋と手帳を出した

「夏休みは返上よ
しっかりと仕事しなさいよ」

俺は遥から荷物を受け取ると、ため息をついた

遥はさらに、鞄の中から白衣を出した