「うわっ、ぎりぎりになってもうたな」

瑞希が助手席で携帯を確認した

15時出港で、駐車場についたのが14時半だった

旅行の企画をたてた女性と、瑞希が会ってすぐに船に乗り込めば、間に合うってところだろうか

『今日未明、マンションの住人から、人の争っているという通報があり
警察官が駆け付けたところ、山中洋介25歳が拳銃で撃たれて死んでいるのを発見
警察が到着したときには、すでに息絶えており、部屋には大量の覚せい剤があった
警察では、山中は龍原組の一員であることから、組の方針による処刑ではないか?とのことです』

ラジオからのニュースに耳を奪われ、俺はエンジンを切る手を止めた

「めっちゃ怖いなぁ
処刑やなんて。組の人間は覚醒剤なんてようやってるもんやないの?」

「龍原組は覚醒剤の密輸、売買は禁じられている。見つかれば、処刑だ。警察が処刑と発表しているのを見ると、脳天を一発撃たれた…てことだ。だが争いがあったのは……おかしい」

「なんでや?」

「今までの過去のデータから、処刑をする場合、争うようなリスクは冒さない
一発で、数秒で片付ける方法をとっていた
何か、意味があるのか?」

「出たぁ、竜ボンのデータ情報!
新聞と雑誌から、自ら推理した情報を日記をと称して書きためている男!
ちょっとしたオタクちっくで、誰にも言えない竜ボンの秘密の一つやで!」

俺は、眉に力を入れると、瑞希の頭を叩いた

オタクちっくって失礼だな

趣味の一つだ

ストレス発散に重宝してるんだ