「乾杯〜!」

三人のグラスが宙で鳴る。
あのあと、現状を報告し終わった三人はそのまま近所の居酒屋に流れ込んだ。

「いや〜疲れた!まさかいきなり戦うとはね〜」
「ほんと驚いたわよ。死んじゃったのか可哀相だけど…」

三人に沈黙が走る。

「そういやぁ、何か知らないか?奴の事」
「んぁ?ああ、少しは知ってるぜ」
「教えてくれ」
「チューハイ奢って」
「…奢りましょう!お姉さん!レモンチューハイ一つ!」
「いや、俺レモン飲めな…」
「で、一体だれなの?あのスーツ男」
「いや、だから飲めな…」
「いきなり火螺にナンパするしね〜」

二人は全く聞く耳を持たない。

「もういいや…。お前らさ、性善説と性悪説って分かるか?」
「人は生まれながらにして善人か、悪人かって奴?」

月影が言う。

「そうそう。で、簡単に言うとそうなんだよ」
「いやいや!簡略しすぎでしょ!」

火螺が突っ込む