あの日 僕は一人で買い物に出掛けていました。
 
君を置いてゆくことに少しの躊躇もありませんでした。
 
 
※※※
 
君「きみ、だぁれ?」
 
♀「わたしここでお人形ごっこしてるの」
 
君「私も一緒にしてもいい?」
 
♀「あっちの砂場が空いてるよ」
 
君「ふーん」
 
♀「…」
 
君「…私 あと一時間はここにいなきゃ」
 
♀「それならお友達になってあげる」
 
君「まあうれしい」
 
♀「うふふ…」
 
※※※
 
 
僕はその公園の入口でただぼうっと立っていました。
買い物の袋だけが揺れています。
 
 
僕「…早く家に帰ってください」
 
君「いやだ」
 
僕「帰れ」
 
君はしぶしぶ公園を後にします。
 
 
 
♀「なぁに」
 
僕「…」
 
♀「こわいよう こわいよう」
 
僕「…この」
 
 
 
家に帰ると、君があの女の子はどうしたのかと問うので
僕はただ 知らない とだけ言っておきました。
 
君「ふーん」
 
 
 
きっと今の公園は
滑稽な彫刻のおかげで静かになっているでしょう。