ここは僕のアパートメントです。
君はまだ熟していないりんごを手に持っていました。
 
それでは料理ができないことを君に伝えると、君はすっくと立ち上がり
 
 
「じゃあ熟らしましょう」
 
 
と言い僕を連れて隣の七号室に行きました。
 
ピンポン
 
ガチャ
 
「どちらさまですか」
 
ベシャッ
 
するとりんごは七号室のお婆さんの頭に刺さっています。
君はりんごを引き抜きます。
動かないお婆さんをじっと見つめながら僕と君はドアを閉めました。
お婆さんだからりんごは少ししか熟れません。
 
次は反対の五号室に行きます。
 
ピンポン
 
ガチャ
 
「どちらさまですか」
 
ベシャッ
 
 
四号室
ピンポン
 
三号室
ガチャ
 
八号室
ベシャッ
 
ふと、見るとりんごは見事真っ赤に熟れていました。
 
 
「これで料理ができます」
 
 
僕は頷きました。
 
七号室のドアからは熟したりんごと同じ真っ赤な色が流れていました。