美術館に行きました。
僕と君は美術館に行ったのです。
 
金魚鉢やスプーンやヨハンシュトラウスの彫刻が置いてありました。
 
絶対の因果率で結ばれているので作品に触れてはいけませんと美術館の人が言います。
君は因果率を壊しに出掛けました。
すると道中美術館の人に取り押さえられました。
 
床に這いつくばる君を、僕は『棒』という彫刻を使って助けました。
 
 
「私にもできるのです」
 
 
と言ったきり何処かに行ってしまった君を探していると、首のない人に出会いました。
僕は軽く会釈をしました。
首は君が指を差す方向にありました。
 
そこには首と一緒にたくさんの手が生えていました。
周りには手のない人がたくさんいました。
 
その彫刻は『イソギンチャク』と名付けることにしました。
 
 
僕と君は美術館を出ることにしました。
 
 
美術館の人が真っ赤になりながらこっちを見ています。
あの『棒』はナイフだったのです。
 
そしてそれ以上に樋口一葉の作品でした。
 
だから悪いのは樋口一葉です。