ある日君は、森の中を歩いていました。
そこは鳥のさえずりや川の流れる音が聞こえる、暗い森でした。
 



 
「♪~」
 
 
「あ、ちょうちょ」
 
 
 
「♪~…」
 



 
森の奥の暗い暗いところまで来てしまった君は、
近くにあった大きな木の下に座りました。
 
するとそこに 青い女の子 がやってきました。
 



 
君「おはよう」
 
青「空がきれいな日はね、月が緑にみえるの」
 
君「空なんて見えないじゃない」
 
青「わたしには見えるよ。なんてきれいな空かしら」
 
君「ふうん」
 
 
 
 
青「ねえ、あの空に飛行機がとんでる」
 
君「だから空なんて見えないよ」
 
青「あなた阿呆ね」
 
君「そうかもしれない」
 
青「やーい阿呆 阿呆」
 
君「…」
 
 
 
 
青「ねえ阿呆さん、あの空にあるたくさんの星が見える? うふふ。見えないでしょう。うふふ」
 
君「阿呆じゃないもん」
 
青「阿呆だもん。だってあのきれいな空が見えないんだもん」
 
君「…うるさいな」
 
青「怒った? うふふ…やっぱり阿呆ね」
 
君「………」
 



 
森のもっと奥ふかく
空がまあるく見える場所
鳥のさえずり
川の流れる音
しぃんとした音
青い女の子は赤くなって
川の水を頭からのんでいる
裸足の君はうれしそうに
森のもっともっと奥ふかくへと
かけていきました。
 
 
「空、見えたね」