僕の部屋には君と、ふすまの隙間から見える目がいます。
 
 
 
 
 
ふすまをちょっとだけ開けたときにできる黒い縦状が、いま、たくさんあります。
その全てに目もあります。
 
僕がそれを見つけると、それはすぐにふすまを閉めます。
 
僕はいつもそれに気付いていないふりをしているのですが、今日は君がいます。
好奇心旺盛な君は、すぐ黒い縦状に気付きました。
 
 
「あっ」
 
ピシャッ
 
ふすまが閉まりました。
 
 
 
「…………あっ」
 
ピシャッ ピシャッ
 
またふすまが閉まりました。
君は苛立っています。
 
 
 
「……………………えい」
 
君はついに黒い縦状をとらえました。
もうそのふすまは閉まりません。
ガタッガタッ
ふすまの前にうずくまって何をしているのか君の肩越しにのぞくと、
君は、
目を人差し指で突き刺していました。
 
そしてぐいぐい指を動かします。
目は逃げようとします。
ふすまがガタガタ音をたてて揺れます。
 
 
 
僕は考えて、やっぱり止めさせることにしました。
 
ふすまにかじりつく君を引き剥がすと、
ピシャッ!

強くふすまが閉まりました。
 
 
 
 
 
いま、四十七 ある 黒い縦状は、
 
一点に 君 を 見つめています
 
 
 
 
ガタガタガタッガタッ!
 
 
ピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッピシャッ!!
 
 
 
 
君が不満そうに僕を見ています。