“俺様”大家の王国




イタリア語の歌は、母音が多いから歌いやすいし、

響きが綺麗だと思う。

だけど、つい声を張りすぎて、おっと、と焦った。

壁の薄い(かもしれない)アパート。

ちょっとした物音が、誰の迷惑になっているか分からないのだ。

(……何か、ちょっと恥ずかしいな)
 
そう思ってしばらく黙っていると、

どこからか、ピアノの音が聞こえてきた。