“俺様”大家の王国




(……人を、傷付けた)
 
自覚していなかった。

一方的に、ただ恨んでいた。
 
もしかしたら、凄く可哀そうなことをしたのかもしれない。
 
箱を開けると、中にはつやつやと綺麗なケーキが、

いくつも納められていた。

ふわりと、甘い良い匂いがする。

(……何か、カツアゲしたみたい)
 
人との付き合いは、私が思っている以上に難しいものみたいだった。
 
好きな人は好き、嫌いな人は嫌い、

じゃやっていけない。
 

彼が、優しい人で良かった。