「ねえ、チェーン外さないの?」 どきり、としたのをわざと惚けた。 「? 話をするだけなら、これで充分じゃないですか」 「中に、入れてくれないんだ」 「入りたいんですか?」 「駄目?」 「はい、嫌です。散らかってるし」 言い訳ではなく、本当に散らかっている。 それに、急いで片付けてまで部屋に上げる義理は無いだろうと思った。 すると、拓海さんは困ったように苦笑してから、 「もしかして怖がってる? 俺のこと」