その時、私は上の戸棚から鍋を出そうと、背伸びをした。 しかし届かないのを見て、近くにいた拓海さんが、 「ああ、俺がやる」 と来てくれた。 丁度十郎さんは、電話がかかってきたので、部屋にいた。 ……私は、てっきり鍋を取ってくれるものだとばっかり思っていた。 だが、彼はそうはしなかった。 私の胴を抱え上げて、手が届くようにしてくれたのだ。