今となっては、その事をとやかく責める気持ちはあまりない。
私が、『あれ』を理解したのは、その数年後の事だった。
その頃には、『あれ』は私にとって嫌悪・忌避すべきものになっていた。
そうしないと、心の中に湧き起こる、どろどろとした何かに耐えられそうになかった。
――母は、私を迎えに来ない。
多分、この先ずっと。
だけど……もうどうでもいい。
母なんて知らない。
あんな勝手な人、私は好きじゃない……。
そう自分で決心してしまうと、驚くほど簡単に切り捨てられた気がした。
そして、私の母に対する態度は次第にとげとげしいものになっていき、
たまにふらりとやって来るようになった母が、憎くてたまらなくなっていった。



