「すいません、お待たせしました……」 「え……?」 何かを覚悟したらしき十郎さんは、おもむろに私の左手を取った。 更に、 「……目を、閉じてもらえますか」 「目?」 「ほんの十秒で、いいですから……」 十郎さんの手が、じっと汗ばむように熱い。 言われた通りにすると、ぐいっと……ちょっと驚くような感触が指を走った。 もしかして、これは――。 私は多分、五秒くらいで目を開けてしまった。 そしてはっと、左手を――薬指を見る。 銀色の、指輪だった……。 「……これが、最後の理由です」