(っあーっもう! 


恋愛ゲームだって、こんな落としづらいキャラいねえよ! 


ボスクラスか!?)




数分に渡り、奈央(というより、全国の女性)に対して失礼な事を考えた後、

十郎は、枕に顔から突っ込んだ。
 

……自分はもう、本当に嫌われてしまったのだろうか。
 

奈央は、事情があるとはいえ、きちんと帰る場所のある子だ。


ケンゴロウのように、親に勘当されたわけでもなければ、小林のように天涯孤独の身の上ではない。




――日に日に、リミットは近付いて行く。
 

しかし最近はリミットよりも、奈央が他の男と一緒にいる事の方に、焦りを感じてしまう。


(……何で、こんなに胸が苦しいんだ)
 

胸元を、ぎゅっと掴んでみた。
 
しかし、痛いのは表層ではなく、もっと奥の方だった。
 

心臓が、痛い。



(会いたい……)