“俺様”大家の王国




(――僕はこれまで、真剣に生きた事が、あっただろうか……)
 
無い事に気付いた。


(このまま……僕は、生きる。

……与えられた環境で、与えられた『役割』をこなして、

与えられた人と添い遂げて、………一生………?)
 

急に、怖くなった。
 

嫌だ、と思った。
 

現状への反抗の精神が、十郎にふつふつと湧き起こってきた。





(僕は、好きでもない女と、暮らせるだろうか……?)


あるいは、好きになる努力をすればいいのだろうか。


そんな、器用なマネが出来るだろうか。


悩んだ末に、十郎はある決心をした。






(自分で、探しに行こう……)