このままでは、計画は頓挫してしまう……!
 
危機を悟ってからというもの、十郎は管理人として何度か入居の希望を断り、

残りの二部屋に希望を託して日々を過ごした。


『当主』から貰ったリミットは『二年』……。

最初の一年を、ほとんど無為に送ってしまった十郎には、後が無かった。

リミットを過ぎれば、否応なしに一族の決めた女性を紹介されてしまう。

もう、大体の日時も決まっている。


……一応、その日の名目は『顔合わせ』とはなっているが、

そんなものは名ばかりの、出来レースだ。

どうせ、自分の知らない間に取り組まれたスケジュールに過ぎない。



かといって、自分で『家』に相応しい女性を探すのも、限度だった。


……これまで、それなりに乱れた女性関係を送ってきた彼ではあったが、

どの女性ともなかなかうまくいかなかった事に悩んでいた。