正直今は、十郎さんと顔を合わせづらい。

なのに、料理を作っている間は、物音がする度に今、帰ってくるんじゃないか、とドアの方を見てしまう。


結構な頻度で、部屋を掃除に来たミエロと顔を合わせる事はあったけど、


私がいるうちに十郎さんが帰ってくる事はなかった。



会いたくないのに、会えない事に、焦りに似た不安を感じていた。



でも、冷蔵庫や冷凍庫を開ける度、中に入れておいた料理が、確実に減っていくのは分かったので、


きちんと食べてくれているんだと、ほっとした。


けれど何故か、いつも虚しかった。