“俺様”大家の王国




(良い人に会えた!)

「わ、私いま……追われてるんです……匿って下さい!」

「うん、事情はよく分からないけど、とりあえずこっちにおいで!」
 

私は、すっかり息が上がっていた。

理由をあまり訊かれなくてよかった。
 
先輩に促されるまま、荷物置きになっている奥の標本室まで歩く。


「はい、ここうちらの荷物置きになってるけど、椅子あるから座っててね!」

「あ、ありがとう、ございます……」
 
標本室はその名の通り、ビニールを被った人体の標本がたくさん納められた部屋だ。

吊るされた全身骨格。

その隣には筋が剥き出しになった人体模型。

ガラスケースに並んでいる頭が輪切りになった標本。

腎臓。

心臓。

肺。

肝臓。

その他にもたくさん。

どれもプラスチックのレプリカだが、こうして見ると、シュールでグロテスクだった。

だけど、私はそんなものへっちゃらだ。