後ろをちらりと振り返ると、HIKARU――もとい光太郎が、私を追ってきていた。
うわーっ、来ないでよ……!
長いスカートが脚に纏わり付いて、とても邪魔だった。
なので、いつかの佐和のように、両手でスカートを持ち上げて走る羽目になった。
幸い、靴はヒール無しの編み上げブーツだ。
ヒールを引っ掛けて転ぶような危険は無かった。
私は逃げる。
人を避けながら中庭を走り抜け、非常階段を駆け上がる。
光太郎の足取りは、あまり早いとは言えなかった。
周りの人々が、彼の存在に気付いたからだ。
一番の原因は、佐和の大声だろう。
そして、佐和が彼を捕まえて握手を求めた事で、彼は出遅れた。
その後も、彼のファンとおぼしき人達が彼に気付く度に騒いでいた。



