“俺様”大家の王国

 


もうすぐ、中庭で餅つきが始まるのだ。
 
それが終わると、餅の販売となるが、

人が一気に押し寄せる代わりに、座って落ち着けるスペースは無い。

だから、そのお客を喫茶まで連れて行って、最後の仕事にしようと思ったのだ。


人混みでふと、誰かにぽんと肩を叩かれた。
 

佐和かと思い、「なぁに?」と振り返った。
 
そこにいたのは、知らない青年だった。
 
色付きレンズの伊達眼鏡をかけているので、一瞬誰だか分からなかった。

でも、どこかで見た事あるような……。


「こんにちは。

……君が、緒方奈央ちゃんだね?」
 

青年は、眼鏡を外して笑みを浮かべた。


佐和が、「ええっ?」と大声を出した。
 

――モデルのHIKARUだった。