もうこれ以上、逃げられない。
というところで、突然春希ちゃんがすっ転んだ。
「わっ」
彼女が私の方に倒れかかってくる形で、思いがけず、私は彼女に組み敷かれていた。
そんな春希ちゃんは状況をわきまえず、呑気に言った。
「……ねえ、もう触っちゃだめ?」
「あの、まず……どいて……」
一体これで誰かの下敷きになるのは何度目だろうかと考えていたら、
「おーいまだかー」
なんてどやどやとクラスメイト達が教室に入って来た。
「まだだよ」と言う前にうっかり、見られてしまった。
悲鳴が上がった。
「何やってんだそこの二人ー!」



