奈央からの電話を切った直後にインターホンが鳴った。

「こんばんびー♪」
 
てっきり兄以外誰もいないと思って、

もしいたところでそれは紅原綾子の娘だけだろと思って、

おふざけ全開でインターホンに向かって喋った彼は、開かれたドアの前にいたのが見知らぬ青年だった事に対し、とても焦った。


「………誰?」
 

HIKARUこと十郎の実弟――光太郎は、不機嫌そうに顔をしかめていたミエロの一言に、

思わず「あ、部屋間違えた……」と言いかけたが、

自分が確かにレベルの高いセキュリティを誇るこのマンションのロックを外し、兄の部屋の前まで来た事を思い出し、黙った。
 

たまたま玄関の近くにいただけで、訪問客の相手をする羽目になったミエロは若干イラつきつつ、質問を変えた。


「……ジューローの知り合い?」