青年は、酒が残った拓海の頭にガンガン響くような元気の良い大声で名刺を差し出した。



『名探偵   小林一月』



寝ぼけ眼を擦りながら、拓海は印字された名前を読み上げた。


「……えー何々……小林……いちがつ……?」


「それで『いつき』って読みます」


「さては一月生まれだな」


「ご名答!」


小林は、ぬいぐるみをわしゃわしゃとあやしながら、笑った。


すると途端に、ぬいぐるみが「きゃん!」と吠えて、拓海は完全に覚醒した。



「あ、ちなみにこの子は柴犬のしばちゃんです」


拓海は固まった。






「い、犬……」