今回は、ラットの頸動脈を直接切断する方法だった。

そこから血を抜いて、失血死させるのだ。

採取した血液も冷凍しておいて、後でいくつかの実験に使う。

命は、決して無駄にはしない。



ただし、今回は先生の説明が悪かったというか、行き違いがあったというか、実は皆、屠殺法に若干の勘違いをしていた。

というのも、一年生の時の屠殺法が、ラットをエーテル麻酔で眠らせている間に開腹して、肝臓に繋がっている太い静脈から注射器で血液を採取する、というものだったのだ。


当然、『中身』は丸見えだし、臓器の動きまで詳細に分かってしまうものだから、相当なトラウマになってしまった人もいただろう。

それを知った先生が親切にも、頸動脈からの採取を提案したのだ。






が、それが間違いだった……。







いざ屠殺となった時、それに当たってしまった人は、それ用の器具がハサミしか用意されていない事に首を傾げた。


「先生、注射器は……?」

「え~使わないよ~?」

「え……」



「あ、漏斗の上でやってね。下にビーカー置いてあるから、他へ垂らさないように……」