もう少しゆっくり、自分のペースで進んではいけないのだろうか。


いつか迎える、将来の暖かい家庭のリハーサルより、

塀に登ったり木の枝を振り回してる方がずっと充実していて楽しかった。

それじゃ、駄目なのかな。

想像もつかない、『お母さん』というものになり切るより、

目の前にある、自分だけの正義を振りかざして……。






……きっと、駄目なんだろうな。


気持ちばかりが見栄っ張りなやんちゃでも、

体はとうにか弱い女として、取り返しがつかないほど成長してるんだから。

それが、大人になるって事でもあるのだろうから。



(だって、いざという時の勇気だって、へろへろの平手打ちが精一杯の抵抗だった……)