そして、数秒で戻ってくると、何やら嬉しそうな顔で、

「『どうせ貰い物だからいい』って」

「でもこれ、ロマネ・コンティって……」

「貰い物なんだろ?」

「『贈り物』の間違いじゃ……」

「いいじゃん使っちゃえ」
 
言うが早いか、彼はあっという間に封を剥がし、栓抜きを握った。
 
そして、

「投~入~♪」


(いいのかよ……)
 
どぱどぱと、鍋に注いでしまった。
 
その上、自分用のつもりなのか、

勝手にワイングラスを持ち出し、鼻歌を歌っている。

(いいのかよ……)