“俺様”大家の王国




「そういえば、さっき何を取ろうとしてたんですか?」

「ああ、卵酒を……。もう、冷めた頃だろうと思って」

「あ、取ります……って、これもう『冷めた』を通り越して、冷たいですよ。

今すぐ、温め直して来ます」

「大丈夫ですよ、そのくらい」

「駄目です。せっかく体を温めるものなのに、こんな冷たいなんて駄目っ! 

だからちょっと行ってきます!」
 
ドアを開けると、

ちょうど外に立っていた拓海さんに思い切りぶつけてしまった。

「ぐはっ!」

「わーっ、ごめんなさい!」

「いつつつ……まあ、いいよ。

ちょっとさ、十郎と話したいから二人にしてくんない?」


「え、でも……」


「この間に、マスクでも用意してなよ」

「はあ、分かりました。

……すぐ、戻ってきますね」

「はい」
 
十郎さんが返事をしたのを聞いて、私は台所に向かった。