“俺様”大家の王国




「ミエロさんの意地悪! 

スライサーで怪我すればいいのに」

「だっ……何で俺が意地悪なんだよ。

こっちが優しく訊いてやってんのに、何だその態度は! 

……っていうか、スライサーって何だよ!」

「野菜とかを薄くスライスする刃物で、私が一番恐れている台所用具です」

「包丁より危ないのか!?」

「七歳の時それで、玉ねぎごと親指の肉持ってかれました」

「なっ……それ、めちゃくちゃ怖いじゃねえか! 

何で俺にそんな酷い事言うんだ!」

「ふんっ……どうせ八つ当たりですよ。

でもそんなの知らないもん……」


せめて今ここにいるのが女の人なら、良かったのに……と、

私は自己中心的な溜め息を吐いた。

この世にいるのは大体男と女。

女の味方が女なら、女の敵は男全部だ。

思考回路がおかしくなった今、ミエロが男だというだけで、


無性に腹が立ってしょうがなかった。