「……どうしたんですか?」

「どうしたも何も……」

(学校遅刻しちゃったんですよ。

今まで皆勤だったのに!)
 
言いかけて、やめた。


「……何でもありません」
 

何でも無くないけど、嘘を吐いた。
 
そこで、分かった。

(そっか。相手を傷付けないように、吐く嘘もあるんだ……)
 
ちらりと彼を見やると、十郎さんはベッドの中で幸せそうに笑っていた。
 
これじゃ、学校行けないじゃん……。

(……しょうがないな)


今日は、ずる休み決定。


「何か、温かいもの作ってきますね」

「はい……」