「そ、そうですか……」
「でも、これだけは間違いないです。
……僕が奈央さんを庇ってるのは、
奈央さんが『大切な人』だからです。
離れたくない、どんな理由でも出て行って欲しくないって、
強く思っているからです。
……パレスの、住人として出会ってしまったのだから……」
聞いているうちに、どんどん自分の顔が赤くなっていくのが分かった。
(こ、これは一体……?)
しかし、同時に十郎さんの顔もやけに赤い事に気付いた。
しかも、それがどうやら『照れ』の表れとかではなさそうだという事にも、気付いた。
(何か、喋り方が変だ……)
「だから、僕は……」
十郎さんが一歩踏み出そうとした、その時だった。
「十郎さん……!?」
……ばたーん!



