「あの子犬か……。
その子犬の為に、お前は家を失くして、それでいいのか?
拾った事を、後悔していないのか?」
「いいんですよ。だってしばちゃん、可愛いもん。
後悔なんて、するわけないじゃないですか。
それに、自分に合わなくなった環境なんて、
とっとと変えた方がいいに決まってるし。
あ、お金の事なら大丈夫ですよ。
俺こう見えても倹約家ですからね。
貯金たっぷりあるんだ」
にしししし、と小林が笑うと、所長も嬉しそうに笑った。
岩井はその光景を眺めながら、思った。
……何だかんだ、こいつってこの事務所に必要なのかもな。
それに比べ、俺は……。
天真爛漫な小林が、岩井にはとても羨ましかった。



