十郎は、探偵達に心の中で謝罪しつつ、受話器を置いた。

(すいませんね……でも、この分の損失金額は、

後でちゃんと振り込んどきますから)

幸運なのは、その事務所と繋がりがあった事だった。

もし他の事務所だったら、少々の犯罪には手を染めていたかもしれない。

ただ、奈央にあのマンションの部屋を内緒で貸している時点で、

少々の悪事を働いているわけだけれど。

(さてと、次は一応……あいつか)
 
十郎はアドレス帳を開き、ボタンを押した。
 

数回のコールの後、留守番サービスに接続された。