「重いーっ!!」
私がじたばたと暴れていると、滝野は私をぎゅっと抱き締めた。
私は困っていたのだが、
そのうち滝野の様子がおかしい事に気付いた。
泣いているようだった。
「……どうしたの、滝野」
「ふられちゃった……」
高校時代から付き合っていた彼氏の事だと、すぐに結び付いた。
大学進学を機に、始まった遠距離恋愛は、
既に破綻していたのだった。
連絡をしないで、驚かせようと訪れた恋人の家には、
滝野の知らない女がいて、滝野は彼に言われた。
ごめんね、こういうわけだから。もう、俺達別れよう……。
「好きだったのに……ずっと、信じてたのに……
私、馬鹿だよ。
強がってあっさり、『分かった、じゃあね』なんて……。
どれだけ、今日会えるのを楽しみにしてたと思ってるんだよ!」



