数時間後、滝野と私は十郎さんのマンションにいた。

理由は、滝野がうっかり終電を逃したからだった。

帰る場所が遠ければ遠い程、終電も早い。

しかし、酒に強くもないくせに、勢いで生中を空けた若者には、

その判断力はあまり残っていなかった。
 
ただ、私が今かなり特殊な状況に置かれている事を、

酔っ払った滝野に説明するのには、骨が折れた。

「……まぁ、あれだよね~。

緒方も大人になったって事」
 
私より早く生まれた彼女は、二十歳をとうに過ぎている。

彼女からしたら、いくらそれが半年の差だろうと、私は年下扱いらしい。