「……奈央さん」 ――びくっ! 「あ……」 「次の駅で、乗り換えですよ」 夢を、見ていた。 酷く不快な感覚が、まだ体の芯に残っている。 ここ数年で、何度か見た夢。 ……母に追われる夢だ。 状況的にありえないのに、夢の中でまかり通ってしまう恐怖。 私は大きく息を吐いた。 「今……ちょっと嫌な夢見てました」 確か、こういう夢って、 現実で何かしなくちゃいけない時に見るんだよね……。